孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。
執着と愛
「もし奇跡的に目が醒めたとしても、記憶障害や身体障害が起こっている可能性は否めません。そして植物状態となってから目が醒める見込みのない場合…、とくに彼のように脳外傷がある場合は………」
6ヶ月以内には死亡することを想定しておいてください───、
「…それは……、醒めなかったら半年持たず自然と死んでしまうということ、ですか…?」
「…はい」
「っ、できるかぎりの延命治療を…、どうかよろしくお願いします……っ」
どんな海真くんも大好きだよ。
あなたが生きていてくれるだけでいい。
私はずっとずっと、待っているから。
返事がなくたって、笑顔がなくたって、私が何回も何回も手を握って名前を呼んで、今日のことを話して、明日のこと。
そして昨日のこと、海真くんと出会った日のこと、今までのこと。
小さなことから大きなこと、話していくよ。
「───いらっしゃいませ!」
「あっ、えとっ、アルバイトの面接にきた高橋です…!すこし早く来てしまったんですけど…」
「お待ちしておりました。店長、バイトの面接にきた高橋さんだよ」
「ああ、とりあえずテーブル席に案内たのむ乃々」
桜が散ったよ、海真くん。
高校3年生になったんだよ私たち。
変わらず今日も営業中です。