孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




「…なるほど。イタリアンバルで経験あり……か」


「はい!バーの雰囲気にも慣れています!カクテルも作れますし、自信はありますっ」


「ちなみに少し前にも来てくれていましたよね」


「えっ、覚えていてくれたんですか!?」


「1度でも来てもらったら忘れないのが俺のモットーですんでね」



どうだろう…。

今まで常連客が多いというイメージを持たれやすくて、こういうちゃんとしたバイト応募は初めてのことだった。


店長も期待しつつ緊張ぎみ……かも。



「ここっ、すごくいいお店だなって…!ピアノもオシャレで、ずっといいなって思っていたんです!」


「ああ…、ピアノは今はとうぶんやってないんですよ」


「あっ、そうなんですか。でも俺、それでも全然!そのっ、店員さんの雰囲気とか…、そういうのも好きなのでっ」



………どういうわけか先ほどからチラチラと見られているような気がする。

できれば仕事が進まないから、見ないでほしいな…。



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