孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。
「おねがい…っ、目を醒まして……っ」
私のせいでこうなったと、たくさん責めていい。
私となんか関わらなければよかったと、怒っていい。
家族のひとりもお見舞いに来ない。
築年数の経った狭いアパートでひとり暮らして、きっとあなたは誰よりも孤独だった。
私以上に孤独だったというのに。
私は今日も生きているよ。
もう、死にたいなんて思っていないよ。
『拐いにきたよ、オジョーサマ』
きみに救われた命。
あとはもう1度きみに拐われて、また一緒に笑い合いたいと願うくらいだ───。