孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。
『…そんで最期はさ。しわくちゃなおれに見守られながら、しわくちゃなおれの腕のなかで、しわくちゃになったののちゃんはゆっくり目を閉じてくんだ。……きっと最高な景色だよ』
目を閉じて、思い出す。
いつも泣いていた私と、笑っていた君を。
おかしいね、同い歳なのに。
似ているけど正反対の孤独を抱えていたというのに、いつもいつも海真くんは私を包みこんでくれた。
その日がくるって、私は信じているよ。
ぜったい来るって、信じてる。
しわくちゃな海真くんを見るまで、私はその景色を見には行けないの。
『おれとずっと一緒に……いてくれる?』
うん、いるよ。
ずっと一緒にいる。
『おれの家族に…、なってくれる?』
なるよ。
私がぜったいに、なる。
『おれ、家族みんなに置いていかれちゃったけど。……ののちゃんがこっちの世界にいるなら、おれはこっちのほうがいい』
私はまだこっちの世界にいるんだよ、海真くん。
勝手に行ったらダメだよ。
………私を置いていかないで。