孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。
もちろんハンバーガーは手でわしづかんで食べなくちゃ意味ないし、コンビニは略してこその名称だ。
こんな私を見たら、あなたはどんな顔をするのかな。
「隣のスウェットパーマさんも良くしてくれてね、とくに最近はどっちかの家で一緒にお茶タイムするくらいにはお友達だよ」
「…呼び方ぜったい怒られるだろ」
「ふふ。まだ怒られてない」
私はこっちの生活に染まったんじゃなく、自らこの生活を掴んだの。
夢見ていたものを、手にすることができた。
海真くんに出会って私の人生は始まったんだ。
「本当はな、学生は働かせるつもりなかったんだ」
「え…?」
「でも、ある日。まだ中学生だろう男がボロボロな姿であのバーにやってきて。“ここで働かせてくれませんか”って」
まるで野良猫のようだったと。
どこかでいたぶられて、なんとか逃げてきた野良猫。
目に光などない。
大切にしていたすべてを失い、ただ限界が来るまでの暇つぶしで渡り歩いているような。