孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




「これってもしかして…、コンビニエンスストアで買ったもの…ですか?」


「そー」


「私、コンビニエンスストア…、行ったことないの」


「うわー……、ほんとオジョーサマじゃん。コンビニって略さないで言うあたりが本物だわ」



パンよりはおにぎりのほうが安全性が高いとのことで、辛子明太子が入ったおにぎりを受け取った。

もし私がお腹を下したら土下座するとまで言ってくれた彼のためにも、大丈夫だと信じたい。



「これ…、どうやって開けるの…?」


「あ、そっからか。ここを下に引っぱればいいだけ。一応は番号が書いてあるから、その順番にやっていけば」



こんなふうになってるんだ…。

ペリペリと包装を外すけれど、言われたように上手にできなくて苦戦する。



「へーきへーき。だいたいみんな崩れる仕様になってる」


「そ、そうなんですか…」


「また握り直せば問題ないよ。それが“おにぎり”っつってね」



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