孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




「大丈夫?」


「っ!」



椅子に座っていた私へと、床に座っていた海真さんが動いた。

覗きこまれては、きれいな目とぶつかる。



「元気でた?」


「……うん」


「もうあんなこと、しない?」



ここで私は素直に言ってしまった。

わからない───と。



「…まあ、そーだ。わかんないよな。わかってたら、そりゃみんなもっと上手く生きるだろーし」



今は流れていない涙。

その跡を拭うように、頬が撫でられた。



「オジョーサマってさ。そんな寂しい目、してんだ」



なんでも与えられてるって思ってた?

なにも不自由することがなくて、人生を謳歌しているって?


そんなことないんだよ。


いつだって本当に欲しいものは、聞く耳すら持たれず、相手にすらされないの。



「……寂しいって…、どんな目…?」


「…なんだろ。守ってあげたくなる目、とか?」



それだけを交わして、私は食べかけのおにぎりに視線を戻す。

あなたは手にしたホットドッグに。



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