孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




「1730円です。そちらの機械からどうぞ」


「えっ、安い…、あっ、これってどうやって……」


「はあ……」



あからさまなため息。

どうにもレジ袋のくだりから、店員さんの機嫌を損ねてしまったようなのだ。



「まずは決済方法を選んで、そこにお金を投入すればいいだけですけど」


「……すみません…、おしえてください」



肩をすぼめながら、私は商品を購入。


何をするにしても変な目で見られた。

私の家がある高級住宅街から離れた場所だからか、歩道もしっかり確保されていないような道ばかりで街並みから違うだなんて。


それからなんとかコンビニエンスストアの袋を手提げて、向かうは数日前の場所。



「……やっぱりわからない…」



最初、バーへと行こうと思った。

けれどあの日の私はがむしゃらに走って、前など見ていなかったから。


たまたまたどり着いたビルがそこだっただけで、ビルなんか見渡すかぎりどこにでも存在する。



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