孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




「あ、じゃないだろ!なにしてんだお前はこんなとこで!授業はどうした?…って、どこぞのお嬢さんを連れて込んでるんだ!!」


「……ここってテストの点だけ取ってればいい高校じゃん、先生」


「んなわけあるか!!他校の女子生徒を連れ込んでこんなところでチョメチョメは退学だぞ…!!」


「まえも保健室でヤッてる生徒いたけど。ああ、更衣室でも」


「はあ!?なんで言わねえんだよ俺に!!どいつだその生徒は…!おいミトっ、待てコラ……!!」


「逃げよ、ののちゃん」


「きゃっ…!」



やっぱり先生は侮れないみたいだ。

私たちが最初から隠れていることを知っていて、フェイクを作ったのかもしれない。


としても今はとりあえず全力疾走だ。



「あいつ体育教師なんだけどっ、すっごい遅いんだよ足!」



さっきまでの雰囲気とはまた違った、この少年のような顔。

どっちのあなたが本物なのって、両方とも海真くんなんだよね。



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