孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




「海真くん…、どこで寝る気なの…?」


「床かなー」


「えっ」



とうとう私は聞いたのだ。

一向にベッドに上がってこないからどうしたんだろうと目を向けてみると、彼は床にスペースを作っていた。



「ごっ、ごめんね…!お邪魔してる人間がベッドって…、私が床にするっ」


「ののちゃん、考えてみてよ。オジョーサマ床に寝かせて庶民がベッドってさ、時代が違ったら確実に処刑されるレベル」


「私っ、そこまでされるようなお嬢様なんかじゃないから…!」


「なら一緒に寝るしかないけど」


「………、」


「お互い譲らなさそうだし」



ちょっとだけ、そんなにも普通に言ってしまえる海真くんにチクりと胸が痛んだ。


女の子と寝ること、慣れているの…?

こんなに緊張しているのは私だけ……?



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