拾われたワンコは元教え子を溺愛する
「親泣くぞ」

「泣きはしなかったです。アンタらしいとは言ってくれて、半年後には真面目に働けと求人誌を投げられたくらいですかね」

「強ぇな。お前の親」

 俺の親も一条の親も就職については厳しかった。特に俺に関しては親父をサポートできるようにとガキの頃から教育されていたにも関わらず、高校の時にそのレールから外れるような行いと将来について考え出したから喧嘩ばっかだった。

 求人誌投げられる程度で済むって。コイツの親優しすぎないか?

「七年か。フリーター生活ってことは一応何処かで働いていたのか?」

「はい。家の近くのコンビニで。そこで働いている時に偶然先輩に会って、自分の勤務先が今臨時職員募集しているから一度くらいは教師として働いてみてはどうかと誘われたんです」

 勤めていた教師が育休に入ってしばらく帰って来れないから、臨時で募集する事があるとか。

「フリーター生活に不満はなかったんですが、教師としてと言われた時に唯花さん達の顔が頭に浮かんだんです。このままフリーターとして働いていてバッタリ街で出会った時に笑われるんじゃないか、と」
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