拾われたワンコは元教え子を溺愛する
 色野は少し言葉に詰まりながらも教師になるまでの経緯を話した。


 一条たちに胸張って教師をやっていると言う為にもこれから頑張っていこうと、臨時職員として誘われた高校ではなく別の高校での採用が決まり働き出したらしい。色野個人では誘われた方に行きたかったらしいが、自分が動くよりも先に決まったらしく断念したとか。

 両親に臨時だけど教師として働くと伝えたらスーツを買ってやるとはしゃいでくれたらしく、コイツの両親マジでいい人過ぎるだろって思った。

「んで? そこからどうやったらホームレスになんだよ」

「……簡単に言うと、最近の高校生は怖いってことですね」

「は?」

「嵌められたんです」

 色野は思い出したくもないのか、言葉を詰まらせながら教師を辞めなければいけなくなった原因を話し始めた。

「先生と生徒が絶対に超えてはいけない壁ってあるじゃないですか。相手は未成年。どんな状況でも不利になるような行為をしてしまえば必ず負けるから気をつけろと校長からは話があって」

「何お前。ガキに手出したのか?」

 俺の言葉に色野は慌てた様子で首を左右に大きく振った。
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