拾われたワンコは元教え子を溺愛する
「やばいでしょこれ」

 ゲラゲラと馬鹿笑いをしている親友――茉莉(まつり)とは小学生からの付き合いだ。

「コンドームって買い取ってくれるの?」

 笑いながら聞いてきたけど、知らん。
 ただ言えることは売る方も査定する方も気まずさがヤバいだろうね。

「マナーとしては大事だけど精力お化けなんじゃない?」

「確かに。……テクも凄かったし」

「あははは! 親友からそんな話聞きたくなかった」

 再びゲラゲラ笑いだした茉莉はお腹痛いと言いながらもずっと笑っている。
 腹筋が鍛えられて良かったじゃん。

「大事じゃない? 付き合う上で。痛いのは嫌だし」

「分かる。ウチの旦那さ、付き合った当初は童貞でね。お姉さんがリードしてあげるよ感を最初は出してたんだけど、いつの間にか逆転してんの。ヤバくない?」

 茉莉の旦那はイケメンでも勉強ばかりしていて女なんて眼中になかったらしい。大学で知り合って勉強を教えてもらっている内にズルズルと関係が続き、社会人になってもそれは変わらなかったから後輩だった旦那さんに茉莉から告白。

 可愛らしくとても負けず嫌いな旦那さんは、夜の方も茉莉には負けたくなかったみたい。

「じゃあこれ貰っていく?」

「んー……。サイズも同じくらいだし二箱くらい貰っていくよ」

「じゃあオマケであと二箱つけておくね。むしろ全部引き取ってくれてもいいんだけど」

 茉莉の、と書かれた段ボール箱にびっしりと敷き詰められていたゴムを四箱取り出し、入れておいた。全部は迷惑だって言われてしまったから。
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