糖度98%楽観的恋愛




滝沢先生と同じ柔軟剤の香りがする制服を着て授業を受けるのは、何だか変な感じだった。

いつもならサボるような授業でも今日に限って大人しく教室にいたのは、保健室に行きづらいからだ。

担当教員に「中谷さん!改心してくれたのね!」なんて嬉しそうに涙ぐまれた。



今朝滝沢先生にキスされたことが気まずく、顔を合わせづらいからだなんてことは言えない。

ふざけた先生だとは思っていたが、まさかあそこまでふざけた性格をしているとは。

私が嘘泣きしながら校長にでも訴えたら大問題だぞと思った。





午前の授業が終わり、移動教室のため廊下を歩いていると、女子達が窓の外を見ながら小声で会話しているのが耳に入った。



「うわー……、あの子マジで告ってるよ」

「よくやるよー。あんな人目につくとこで告ったら成功するもんも成功しないっしょ。滝沢先生にも立場ってもんがあるし」

「ていうか本気でオーケーされるとか思ってんのかな?いくら滝沢ちゃんでも女子高生に手は出さないと思うんだけど。しかも、うちの生徒」

「いやでも分かんないよ、滝沢先生だし」

「いやいや、ないない。さすがにない」

「正直滝沢ちゃんも悪いと思うんだけどなー。あの人生徒と距離感近いもん。勘違いしちゃうって」

「4組の子も告ったって話じゃなかった?」

「たまに出てくるよね。フラれて大泣きしてた」

「えー。泣くほどガチだったの?」

「いや、何かキツイこと言われたんだって。俺の恋愛対象は同年代だとか、高校生なんてただのガキだとか」

「ぎゃはははは!言い過ぎ!」



窓の外を見ると、滝沢先生と背の高い女生徒が向かい合っている。


相手は男子が体育の授業中、巨乳だ何だと騒いでいた女子だ。

制服姿では体操服と比べてあまり分からないが、確かに遠目から見てもスタイルがいい。

あんな制服がコスプレに見えちゃうくらい大人っぽい子でもあの人はガキ扱いするんだろうか、と少し興味深かった。




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