糖度98%楽観的恋愛



「お前が相手してるガキ、絶対下手だろ」



間接的な表現だが、おかしそうに笑う滝沢先生の言わんとすることはすぐに分かった。

私のセフレたちはセックスが下手だと言いたいのだ。特別そんなように感じたことはないが、滝沢先生は自信ありげに言い切ってくる。



「下手……かどうかは分かりませんが」

「下手なんだよ。お前がそんな風に他人事みたいに言えるってことは」

「そうなんでしょうか」

「余計なこと考える余裕ねぇってわけじゃねーなら、下手だよ。試しに俺が抱いてやろうか?」

「絶対嫌なんですけど……問題になりたくないですし、滝沢先生とそんなことしたら数々の女生徒に恨み買いそうです」



冗談っぽくなされた提案を即刻拒否した。

滝沢先生も、問題になるのは嫌だろうから。




 :



ハンバーガーショップを出て帰る頃には雨が止んでいた。

滝沢先生はその後まっすぐ私を家まで車で送ってくれて、最後に車の窓を開けて不思議なことを言ってきた。



「お前、放課後は塾も習い事もねぇよな?」

「え……はい」

「じゃあ、今度奢ってほしかったらまた声かけろよ」

「……は?」

「一緒に晩飯食ってやる」



何故? という目で運転席にいる滝沢先生を見返すと、これまた不思議なことを言われる。



「お前、いつも寂しそうにしてるから」



クソぼっちだと言いたいのだろうか、と少し屈辱に感じながら、私は雨上がりの道路を走り去る滝沢先生の車の後ろをしばらく眺めていた。




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