糖度98%楽観的恋愛
不思議な関係
それ以降、私と滝沢先生は、たまに晩ごはんを一緒に食べる関係になった。
滝沢先生の方からふらりと現れて私に声をかけることもあれば、私の方から奢ってくださいと直接的にお願いしに行くこともある。
お母さんが月に一度帰ってきて家にお金を置いていってくれるとはいえ、それだけじゃ足りない月もある。
特に食費は、コンビニ弁当ばかり買っていたらすぐになくなる。
私は朝早く起きてお弁当を作るなんてことができる器用な女じゃないから、今までは朝ご飯を抜いたり昼ご飯を抜いたりして工夫していたけれど、滝沢先生とご飯を食べに行くようになってからはあまりそういうことも意識しなくて済むようになった。
体を売ってお小遣いを稼ぐような同世代もいる中で、何の見返りもなく奢ってくれる大人が身近にいる環境は恵まれている方だろうなと思った。
「美玖、最近付き合い悪くね?」
セフレの一人、二個上の先輩が不服そうに唇を尖らせる。
私が彼からの誘いを断るのは今月で二回目だ。
以前は来るもの拒まずだった私にしては珍しい、と今更気付いた。
「……すみません。最近は放課後用事があって」
「ふーん。彼氏でもできた?」
「いえ。できてません」
「だろーな。美玖、可愛げねーもん。美人だし身体はいいけど、彼女にしたいかって言われると違うタイプ」
ギャハハと失礼なことを言って下品に笑う彼を、私は蔑むような目で見ていた。
下に見ている女に何度も断られてプライドが傷付いているから、わざと嫌な言い方をしてくるのだろう。