糖度98%楽観的恋愛
校長や生活指導の先生からの長い挨拶が終わり、服装頭髪検査が終わった後、生徒たちは友達と喋りながらぞろぞろと体育館を出ていく。
うちの高校の体育館の暖房はあんまり効いてなくて寒いので、私も両手を擦り合わせながらさっさと歩き出す。
前に並んでいた女子生徒たちが「えーっアイシャドウくらいよくな~い!?」と担任に捕まって文句を言っているのを横目に靴箱の方へ向かっていると、突然頭部に重みが乗っかかってきた。
「アイツと仲いーの?」
見上げれば、滝沢先生が私の頭に腕を乗せている。
身長的にちょうどいい位置にあるのだろうが、人の頭は腕を置く場所ではないので無理やり退ける。
「……アイツ?」
「さっき一緒に来てた奴」
「ああ……」
織田くんのことか、と納得する。
確かに、私のことを万年ぼっちだと思っている滝沢先生の目には、私が誰かと一緒に体育館に来ているのは意外に映ったかもしれない。
「クラスメイトです。彼は誰にでも声をかけるので、私のような嫌われ者とも話すんです。いるでしょ、周りの目を気にせず苛められっ子にも声かけれるタイプの八方美人」
「ふーん?」