糖度98%楽観的恋愛



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「「「「文化祭、お疲れ様でしたーっ!!」」」」



結局大して参加していない文化祭の打ち上げに参加させられることになった。

ワイワイ盛り上がる同級生たちを眺めながら死んだ目をしているのは私だけだろう。

周りの同級生たちのテンションが上がるごとに私のテンションが下がっていく気がする。

別に話し相手もいないんだから、焼き鳥くらい一人で食べた方がマシだ。

私を無理矢理参加させた当の本人である織田くんは、思った通り中途半端で、私が文化祭準備に参加していないことには気付くくせに私がここで居づらそうにしているのは目に入らないのか、いつものメンバーの中で笑い合っている。



その時、ふと私の隣に座った人物がいた。



――堂本宅間。一度は体を重ねた相手だ。ゴムなしで入れてこようとしたからすぐ切った相手。



「久しぶりだね」



……来なきゃよかった、と心の底から後悔した。

いや、来なきゃよかったも何も、私は最初から来るつもりなかったのだけれど。

テーブルの下、みんなからは見えない隠れた位置で、私の手に宅間の手が重ねられている。



「ずっと話したかったよ」



片手でしっかり私を掴んでいるくせに周りにそれを悟らせず、変わらない調子で話し掛けてくる。

ずっと話したかった?ずっとお前の体に欲をぶつけたかったの間違いだろう。

この歳になると男女の在り方が明確になってくるから嫌だ。

いくらセックスが好きとはいえ、嫌な男に女としての部分を求められると、男女なんて関係なくケイドロしていた小学校時代に戻りたくなる。



一度切った相手ともう一度したいとは思わない。

どう切り抜けようかと考えていた時、織田くん達のいる方向から歓声が上がった。



「あっ滝沢ちゃんだ!」

「おそーい!やっと来た!」



そこにやってきていたのは、いつも以上にラフな格好をしている滝沢先生。


どうやらカースト上位組は滝沢先生までここに呼んでいたらしい。

担任は呼ばず滝沢先生を呼ぶあたり、滝沢先生の人気と担任の人気の差が浮き彫りになった感じがして私は嫌なのだが、同級生たちはそんなこと気にせずより盛り上がり始める。


これは好機、と宅間の手を振り払って立ち上がった。

滝沢先生に注目が集まっている間に、ドリンクを入れに行くという名目でこの場を離れようと考えたのだ。

予想通り宅間は「俺のも入れてきてくれる?」と笑った。



ドリンクバーコーナーへ行き、はぁと短く溜め息を吐いて腕時計を見る。

まだ30分も経ってない。

こういう打ち上げって軽く3時間4時間と続くだろうから、先は長い。



……それにしても、あの養護教諭凄く人気なんだな。

あの人が来ただけであれだけ盛り上がるとは思わなかった。



変に堅苦しいことを言わないところがウケてるんだろうか。

綺麗事だけじゃなくて汚い話も平気でしそうだし。

そういう意味で、生徒にとっては気軽に会話出来る相手なのかもしれない。




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