糖度98%楽観的恋愛
部屋に入ると早々にズボンを下した宅間は、相当ムラムラしていたのかあっさり私に咥えさせてきた。
「おいし?」
そんなわけねぇだろ、自分のちんこ何だと思ってんだ、という気持ちを押し殺して、こくりと頷く。
正直私はそこまでフェラ慣れしているわけじゃないし、上手いとも言えないし、舐めるのも好きじゃない。まぁ指示通りにしていればそのうち射精するだろうという投げやりな気持ちで続けていれば、急に頭を上げさせられた。
宅間のブツがずるりと口内から出ていく。
「っやっぱさ、口ん中で出すの勿体ないよ」
「…は?」
「入れさせて。ちゃんと、付けるから」
ハァハァと荒い息で私を押し倒す宅間はいつもより早口になっていて、興奮しているのが嫌でも分かる。
……やっぱりこうなるかという諦めの気持ち半分、まぁ相当下手というわけでもないしここまで来たんだからヤってもいいかなという乗り気半分。
首筋に顔を埋めてくる宅間の首に手を回し、男を誘う時の声を出す。
「あっ…たく、」
――――……じゃあお前 あいつに抱かれる時俺の名前呼んでんだ?エロいね
刹那、色気ある誰かの口元を思い出して、その名を呼び切る前に口を閉ざしてしまった。
「……? 美玖?どうしたの?」
私の急な心境の変化を敏感に感じ取ったらしい宅間が、ぴたりと動きを止める。
スカートの中に侵入しようとしていた宅間の手を退かし、上体を起こした。
「…ごめん。萎えた」
「……ええ?ここまで来て?そりゃないよー」
「ごめん、でもほんと、今日は無理。今無理になった」
「…んなこと言って下は――」
「いや、マジでそういうのじゃないから。本気で嫌。今日は帰る」
ショーツの中に手を入れてこようとした宅間の腕を退かし、部屋から出ていく。
後ろで舌打ちする音が聞こえ、いつもは何も感じないはずのそんな態度に、ちくりと胸が痛んだ。
道具としてしか見ていないのはお互い様で、いよいよヤれると思った性処理道具が急に使えなくなったら、私だって盛大な舌打ちを打つだろう。そんなことは分かっているのに、今日の私は随分と感じやすいらしい。
――すり減らされている感覚とは、こういうことを言うのだろうか。