糖度98%楽観的恋愛
お言葉に甘えて滝沢先生の傘に入って歩いているうちに、前方から冷たい風が吹いてきて身震いする。
秋とはいえ、もう冬の始まりのような寒さだ。
「俺んち駅より近いけど」
傘の中、至近距離から滝沢先生の声がする。
「先に寄って着替えてく?」
雨音にかき消されないようにより近付いただけだろうが、少しドキッとしてしまった。
確かに他の先生より若くてイケメンだと話題の人ではあるが、あくまでも保健室の先生なのだから、変なことを考えてはいけない。
私は淡々と、「よければ」と答えた。
「いい子」
滝沢先生が少し機嫌良さげに言って道を曲がった。
滝沢先生の家ってこの辺だったのか、と意外に思いながら付いていく。
向かった先は、繁華街から少し外れた住宅街のマンションの五階だった。