涙を越えて
第二十話 怒りの不協和音
『モナリザの微笑み』
例えば君が羽を持って 大空へと羽ばたくなら
僕は地獄へと身を投げてしまおう
例えば君が人魚になって 海に還るのなら
僕は果てしなく渦を巻く海の泡になって、消えてもいい
二度と出逢わないように
Ah モナリザの微笑みは
どうにもならない愛を憂いた顔だったのか
鏡の中の僕の顔 頭から離れない
どのくらい君を想えば 君は笑ってくれるのだろう
どのくらい君を探せば 君を見つけられるのだろう
どうしても会いたいのに
Ah 君と一緒にいる資格が僕にあったなら
こんな想いをする事はなかったのかな
目の前から消えていく君の姿
伸ばした手はもう届かない
Ah モナリザの微笑みは
どうにもならない愛を憂いた顔だったのか
最後に見た君の笑顔
凄く綺麗だった
「どう……かな?」
三日三晩考えて捻り出して書いた歌詞を吹雪に見てもらった。見せるのは恥ずかしかったけど、妄想って事にすればいいじゃん!と開き直っている。俺は真剣に歌詞カードを見ている吹雪をこっそり見つめた。
そう、これは妄想なんかじゃなくて俺の心境そのもの。
好きだって自覚した瞬間に失恋してしまった男の切ない感情を込めてみたのだ。俺はいつの間にか祈るようなポーズになって吹雪の言葉を待った。
「うん、いい。」
「……え?」
「いいよ、嵐!凄くいい!私ちょっと感動しちゃった。まぁ、ちょっと手直しは必要だけど。」
見るとちょっと目元が赤い。俺は照れながらも胸を張った。
「だろ~?俺だってやれば出来るんだぜ?」
「ねぇねぇ、このモナリザってこの間私がモナリザの話したから思いついたの?」
「ま、まぁな。お前に言われて色々調べたらさ、モナリザの表情について研究した人の論文?みたいなのがあって。モナリザってダ・ヴィンチと不倫関係にあったっていう説があるの知ってた?」
「え!何、それ。知らない!」
「不倫してたんだけどもう別れようって事になって、最後に描いた絵があの絵なんだって。だからああいう複雑な表情になったっていう。」
言いながら若干の後ろめたさを感じてしまう。何故なら全部風音の受け売りだから……
あいつ、芸術全般詳しいから。歌詞を書く参考にしたいと言ったら教えてくれた。
「へぇ~~」
「な、何だよ?」
「嵐に教えられるなんてね。あーあ、明日は槍でも降るんじゃない?」
「おい!失礼だな!」
「あはは!」
「嵐!大変!」
二人で笑ってると雷が部屋に駆け込んできた。よっぽど慌てて走ってきたんだろう。広い肩がゼイゼイいってる。
「どうしたんだよ?そんなに慌てて……」
「あ、吹雪ちゃんもいたんだね。とにかく一緒に来て!スタジオで竜樹と氷月が喧嘩してる!」
「はぁ!?」
吹雪と顔を見合わせると廊下をスタジオに向かって走った。
「喧嘩ってどういう事だろ……」
「さぁな。とりあえず行けばわかる。」
走りながら吹雪と小声でやり取りするが、事情を知ってる雷はだいぶ後ろでバテてるから当てにならない。もう少しでスタジオのドアっていうところで竜樹の怒声とガタガタッという大きな音がした。
「おい!何やって……」
「氷月!」
俺の声と吹雪の悲鳴が同時に響く。吹雪が駆け寄った先には、床に尻もちをついた氷月がいた。南海ちゃんに支えられて体を起こしたところだった。口の端が切れて血が僅かに出ている。俺はそれを見て頭に血が上った。
「お前!殴ったのか!?」
竜樹に食ってかかると当の本人はけろっとした顔で俺を見た。
「あぁ。」
「何で……」
喧嘩が日常茶飯事の俺達でも、本気で顔を殴るなんて事は今までなかった。でも竜樹が氷月の顔を殴った。
信じられない光景に何も言えずにいると、風音が一歩前に出て言った。
「僕も最初から見ていた訳じゃないんだけど。竜樹が書いてきた歌詞カードを氷月が破り捨てちゃったんだ。それで竜樹が怒って……」
「氷月、本当?」
吹雪が強張った顔をして氷月を見る。それに対して氷月は無言で頷いた。
「どうしてそんな事!」
「……だって最近の竜樹、様子が変なんだ。通し練習以外は自分のブースに閉じ籠るし、話しかけても上の空。それでもちゃんと仕事をしてるんならいいけど、作ってくる歌詞はどれも竜樹らしくないものばっかり。それにいつ見に行っても部屋でボーッとしてるし。これって明らかに変だよね?何か不満があるなら言えば?僕の事裏で色々言ってるんでしょ?何言われても平気だから。ほら、どうぞ。」
「ちょっと氷月君……」
「じゃあ言わせてもらうけど。」
「竜樹君も!」
南海ちゃんの制止にも耳を貸さずに、竜樹は堰を切ったように捲し立てた。
「お前は昔からいけ好かない奴だったけど、同じ夢に向かう同士だと思ってた。性格は合わなくても向かう先とか目指す方向が同じなら、それはそれでお互いに歩み寄って一緒に頑張っていこうって思ってた。でも最近のお前はどうだ?社長に媚びへつらって自分が俺らの代表みたいな顔して、曲作ってやってんだからって偉そうな言い方して……何様だよ?え?お前らなんかもうすぐ俺から捨てられるくせに!」
竜樹の最後の一言にその場がしんと静まり返る。誰も言葉を発しない。それどころか身動き一つしない。まるで一時停止ボタンを押されたかのようだった。
「……え…?」
「今、何て……」
俺のか細い声を皮切りに全員の時間が動き出す。それは竜樹も同じだったようでハッとした顔で辺りを見回した。
「……どういう事だよ、それ!捨てるって何だよ!?」
「嵐……」
「どういう事かって聞いてんだよ!」
「嵐!止めて!」
「うるさい!風音は引っ込んでろ!」
「わっ!」
「風音君!大丈夫?」
「……大丈夫。ゴホッ……」
竜樹に掴みかかる俺を風音が止めようと入ってきた。俺はそれを力任せに遮って竜樹に向かっていく。
「竜樹!」
「……社長から引き抜きの話を持ちかけられたんだ。」
「引き抜きぃ!?」
「っていうか最初から俺だけが目当てだったんだと。バンドをデビューさせてイイ気にさせてから、才能溢れるギターを引き抜いてソロで鮮烈なデビューを飾らせる。ギターも上手くて歌も上手い。おまけに顔もいいとくれば、こうなるのは必然だった訳だ。」
「は……嘘だろ?そんな事って……」
竜樹だけが欲しくて俺達を利用した?そんな……
「で?その話受けたの?」
氷月が妙に冷静に聞く。それに竜樹は鼻で笑って答えた。
「当たり前じゃん。即答。」
「なっ!」
「竜樹!」
「何?吹雪。」
吹雪が何か言いたげに声を荒げるが、竜樹に睨まれて口を閉じた。
「あぁ、そうそう。吹雪にも一緒に抜けようって誘ったんだけどさ、断られたんだよね。俺と歌うよりやっぱり嵐と歌う方がいいってさ。」
勢い良く吹雪を見ると、顔を紅潮させて竜樹を見ていた。ぎゅっと握った両手が震えている。
「と、いう事で俺は今日で出ていくよ。」
「ちょっと竜樹!勝手に決めないでよ!僕達の気持ちはどうなるの!?」
「ごめんな~風音。お前や雷に不満はねぇけど、ソロデビューっていう美味い話が転がり込んできたらそりゃそっちに食いつくって事だ。」
「そんな……ゴホッ…ゴホッ…!」
「ちょっと風音?まだ風邪治ってないの?」
竜樹にすがろうとした風音だったが咳き込んでその場に膝をつく。雷が肩を支えてそう言うと、風音は青い顔をしながら微笑んだ。
「竜樹……」
「何だよ、嵐?」
「もしお前が抜けたら……」
「嵐!何言って…ゲホッ…」
「俺達は……バンドはどうなる?解散か?」
そう聞くと竜樹は片頬を歪めて笑った。
「さぁ?6人でやれば?」
「おい!竜樹!もっとちゃんと話を……」
竜樹は俺が止めるのも構わずにドアへと向かうと、振り向かないまま吐き捨てた。
「あぁ、そうだ。俺の荷物は佐竹さんに頼んで送ってもらうようにするから、勝手に触るなよ?……じゃあな。」
「待って……!」
吹雪の声を断ち切るような音を立ててドアが閉まる。その一瞬後には竜樹の靴音が遠ざかって、そして聞こえなくなった。
「……ゲホッ!ゴホッ!ウッ…ゴホ…ゴホッ……」
「風音君!大丈夫?風音君!」
「風音!どうした!?」
風音が激しく咳をして徐々に倒れていく。支えていた雷が慌てて額に手を充てると、焦った声を出した。
「大変だ!熱がある!」
「え!?」
「風音君!風音君!しっかりして!風音君!」
南海ちゃんが狂ったように叫んでいる。その横で吹雪が自分の上着を脱いで風音にかけていた。そして氷月が自分のスマホで救急車を呼んでいる。
俺は、俺だけは……その様子をぼんやりと見つめていた……
『怒りの不協和音』
僕達は何処で間違えたのだろう
同じ道を歩き、同じ所を見ていたはずなのに
分かれた十字路の場所は
今となってはもう 何処だかわからない
僕達は何に怒っているのだろう
自分の愚かさか 仲間の裏切りか
すれ違った心の行き先は
自分達でももう 何処だかわからない
鳴り続ける不協和音 それは止まる事を知らない
耳に残るその調べは
いつかの和音に戻るのだろうか
例えば君が羽を持って 大空へと羽ばたくなら
僕は地獄へと身を投げてしまおう
例えば君が人魚になって 海に還るのなら
僕は果てしなく渦を巻く海の泡になって、消えてもいい
二度と出逢わないように
Ah モナリザの微笑みは
どうにもならない愛を憂いた顔だったのか
鏡の中の僕の顔 頭から離れない
どのくらい君を想えば 君は笑ってくれるのだろう
どのくらい君を探せば 君を見つけられるのだろう
どうしても会いたいのに
Ah 君と一緒にいる資格が僕にあったなら
こんな想いをする事はなかったのかな
目の前から消えていく君の姿
伸ばした手はもう届かない
Ah モナリザの微笑みは
どうにもならない愛を憂いた顔だったのか
最後に見た君の笑顔
凄く綺麗だった
「どう……かな?」
三日三晩考えて捻り出して書いた歌詞を吹雪に見てもらった。見せるのは恥ずかしかったけど、妄想って事にすればいいじゃん!と開き直っている。俺は真剣に歌詞カードを見ている吹雪をこっそり見つめた。
そう、これは妄想なんかじゃなくて俺の心境そのもの。
好きだって自覚した瞬間に失恋してしまった男の切ない感情を込めてみたのだ。俺はいつの間にか祈るようなポーズになって吹雪の言葉を待った。
「うん、いい。」
「……え?」
「いいよ、嵐!凄くいい!私ちょっと感動しちゃった。まぁ、ちょっと手直しは必要だけど。」
見るとちょっと目元が赤い。俺は照れながらも胸を張った。
「だろ~?俺だってやれば出来るんだぜ?」
「ねぇねぇ、このモナリザってこの間私がモナリザの話したから思いついたの?」
「ま、まぁな。お前に言われて色々調べたらさ、モナリザの表情について研究した人の論文?みたいなのがあって。モナリザってダ・ヴィンチと不倫関係にあったっていう説があるの知ってた?」
「え!何、それ。知らない!」
「不倫してたんだけどもう別れようって事になって、最後に描いた絵があの絵なんだって。だからああいう複雑な表情になったっていう。」
言いながら若干の後ろめたさを感じてしまう。何故なら全部風音の受け売りだから……
あいつ、芸術全般詳しいから。歌詞を書く参考にしたいと言ったら教えてくれた。
「へぇ~~」
「な、何だよ?」
「嵐に教えられるなんてね。あーあ、明日は槍でも降るんじゃない?」
「おい!失礼だな!」
「あはは!」
「嵐!大変!」
二人で笑ってると雷が部屋に駆け込んできた。よっぽど慌てて走ってきたんだろう。広い肩がゼイゼイいってる。
「どうしたんだよ?そんなに慌てて……」
「あ、吹雪ちゃんもいたんだね。とにかく一緒に来て!スタジオで竜樹と氷月が喧嘩してる!」
「はぁ!?」
吹雪と顔を見合わせると廊下をスタジオに向かって走った。
「喧嘩ってどういう事だろ……」
「さぁな。とりあえず行けばわかる。」
走りながら吹雪と小声でやり取りするが、事情を知ってる雷はだいぶ後ろでバテてるから当てにならない。もう少しでスタジオのドアっていうところで竜樹の怒声とガタガタッという大きな音がした。
「おい!何やって……」
「氷月!」
俺の声と吹雪の悲鳴が同時に響く。吹雪が駆け寄った先には、床に尻もちをついた氷月がいた。南海ちゃんに支えられて体を起こしたところだった。口の端が切れて血が僅かに出ている。俺はそれを見て頭に血が上った。
「お前!殴ったのか!?」
竜樹に食ってかかると当の本人はけろっとした顔で俺を見た。
「あぁ。」
「何で……」
喧嘩が日常茶飯事の俺達でも、本気で顔を殴るなんて事は今までなかった。でも竜樹が氷月の顔を殴った。
信じられない光景に何も言えずにいると、風音が一歩前に出て言った。
「僕も最初から見ていた訳じゃないんだけど。竜樹が書いてきた歌詞カードを氷月が破り捨てちゃったんだ。それで竜樹が怒って……」
「氷月、本当?」
吹雪が強張った顔をして氷月を見る。それに対して氷月は無言で頷いた。
「どうしてそんな事!」
「……だって最近の竜樹、様子が変なんだ。通し練習以外は自分のブースに閉じ籠るし、話しかけても上の空。それでもちゃんと仕事をしてるんならいいけど、作ってくる歌詞はどれも竜樹らしくないものばっかり。それにいつ見に行っても部屋でボーッとしてるし。これって明らかに変だよね?何か不満があるなら言えば?僕の事裏で色々言ってるんでしょ?何言われても平気だから。ほら、どうぞ。」
「ちょっと氷月君……」
「じゃあ言わせてもらうけど。」
「竜樹君も!」
南海ちゃんの制止にも耳を貸さずに、竜樹は堰を切ったように捲し立てた。
「お前は昔からいけ好かない奴だったけど、同じ夢に向かう同士だと思ってた。性格は合わなくても向かう先とか目指す方向が同じなら、それはそれでお互いに歩み寄って一緒に頑張っていこうって思ってた。でも最近のお前はどうだ?社長に媚びへつらって自分が俺らの代表みたいな顔して、曲作ってやってんだからって偉そうな言い方して……何様だよ?え?お前らなんかもうすぐ俺から捨てられるくせに!」
竜樹の最後の一言にその場がしんと静まり返る。誰も言葉を発しない。それどころか身動き一つしない。まるで一時停止ボタンを押されたかのようだった。
「……え…?」
「今、何て……」
俺のか細い声を皮切りに全員の時間が動き出す。それは竜樹も同じだったようでハッとした顔で辺りを見回した。
「……どういう事だよ、それ!捨てるって何だよ!?」
「嵐……」
「どういう事かって聞いてんだよ!」
「嵐!止めて!」
「うるさい!風音は引っ込んでろ!」
「わっ!」
「風音君!大丈夫?」
「……大丈夫。ゴホッ……」
竜樹に掴みかかる俺を風音が止めようと入ってきた。俺はそれを力任せに遮って竜樹に向かっていく。
「竜樹!」
「……社長から引き抜きの話を持ちかけられたんだ。」
「引き抜きぃ!?」
「っていうか最初から俺だけが目当てだったんだと。バンドをデビューさせてイイ気にさせてから、才能溢れるギターを引き抜いてソロで鮮烈なデビューを飾らせる。ギターも上手くて歌も上手い。おまけに顔もいいとくれば、こうなるのは必然だった訳だ。」
「は……嘘だろ?そんな事って……」
竜樹だけが欲しくて俺達を利用した?そんな……
「で?その話受けたの?」
氷月が妙に冷静に聞く。それに竜樹は鼻で笑って答えた。
「当たり前じゃん。即答。」
「なっ!」
「竜樹!」
「何?吹雪。」
吹雪が何か言いたげに声を荒げるが、竜樹に睨まれて口を閉じた。
「あぁ、そうそう。吹雪にも一緒に抜けようって誘ったんだけどさ、断られたんだよね。俺と歌うよりやっぱり嵐と歌う方がいいってさ。」
勢い良く吹雪を見ると、顔を紅潮させて竜樹を見ていた。ぎゅっと握った両手が震えている。
「と、いう事で俺は今日で出ていくよ。」
「ちょっと竜樹!勝手に決めないでよ!僕達の気持ちはどうなるの!?」
「ごめんな~風音。お前や雷に不満はねぇけど、ソロデビューっていう美味い話が転がり込んできたらそりゃそっちに食いつくって事だ。」
「そんな……ゴホッ…ゴホッ…!」
「ちょっと風音?まだ風邪治ってないの?」
竜樹にすがろうとした風音だったが咳き込んでその場に膝をつく。雷が肩を支えてそう言うと、風音は青い顔をしながら微笑んだ。
「竜樹……」
「何だよ、嵐?」
「もしお前が抜けたら……」
「嵐!何言って…ゲホッ…」
「俺達は……バンドはどうなる?解散か?」
そう聞くと竜樹は片頬を歪めて笑った。
「さぁ?6人でやれば?」
「おい!竜樹!もっとちゃんと話を……」
竜樹は俺が止めるのも構わずにドアへと向かうと、振り向かないまま吐き捨てた。
「あぁ、そうだ。俺の荷物は佐竹さんに頼んで送ってもらうようにするから、勝手に触るなよ?……じゃあな。」
「待って……!」
吹雪の声を断ち切るような音を立ててドアが閉まる。その一瞬後には竜樹の靴音が遠ざかって、そして聞こえなくなった。
「……ゲホッ!ゴホッ!ウッ…ゴホ…ゴホッ……」
「風音君!大丈夫?風音君!」
「風音!どうした!?」
風音が激しく咳をして徐々に倒れていく。支えていた雷が慌てて額に手を充てると、焦った声を出した。
「大変だ!熱がある!」
「え!?」
「風音君!風音君!しっかりして!風音君!」
南海ちゃんが狂ったように叫んでいる。その横で吹雪が自分の上着を脱いで風音にかけていた。そして氷月が自分のスマホで救急車を呼んでいる。
俺は、俺だけは……その様子をぼんやりと見つめていた……
『怒りの不協和音』
僕達は何処で間違えたのだろう
同じ道を歩き、同じ所を見ていたはずなのに
分かれた十字路の場所は
今となってはもう 何処だかわからない
僕達は何に怒っているのだろう
自分の愚かさか 仲間の裏切りか
すれ違った心の行き先は
自分達でももう 何処だかわからない
鳴り続ける不協和音 それは止まる事を知らない
耳に残るその調べは
いつかの和音に戻るのだろうか