いつでもキミが(推敲版)




「……?」


ふと、どこからか強めの視線を感じる。
気配を辿るように、その視線の先を見れば、驚いた表情をしている茶髪イケメンと目が合った。

そのイケメンは驚いた様子のまま、バサッと力が抜けたように持っていた記録用のボードを落としてしまっている。

どうしたんだろ……?

不思議に思い、その人のもとに近づいては足元に落ちたそのボードを拾った。


「こんの、いち……?」


そこに書かれた名前は"紺野一"という文字。

知らない人だ……何でこのイケメンは私を見て驚いたんだろう?
それに近くで見ると更にイケメンで少しビビる。
ここまで整った顔を、間近で見ることは今までなかったからだ。

ちょっと無愛想な感じもあるが、切れ長の目に鼻や顎はシャープで喉仏がいい感じに出ている。スタイルも良く身長が低めな私からすれば見上げないと表情がわからないが。
しかし雰囲気からしてどこかのアイドルグループに所属していてもおかしくないし、それ相応のビジュアルだ。

ははーん……体育館の入り口あたりにいる女子の集団はこのイケメンが目当てか……とLにした親指と人差し指を顎に当て推測する。


「よく言われるけど、一って書いて"はじめ"だから」

「……あっ! その名前、昔お父さんと一緒に見たドラマで、聞いたことある! 確か、きんだいち……うぐっ」


言おうとした言葉を遮るように、大きな手で口元が覆われ無理やり言葉を飲み込まされた。
目をぱちくりとさせ彼を見上げると、不愉快そうな表情をしている。



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