不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜

「真綾ちゃん?」
「わ、わたし……。どうしたらいいかわからなくてっ!」

 突然泣き出してしまい、織恵を困らせているのはわかっていた。
 それでも堰を切ったように涙が止まらない。
 真綾は織恵の腕の中でさめざめと泣いた。
 たまりにたまった心の澱をすべて吐き出すと、織恵は静かにうなずいた。

「話してくれてありがとう。ずっとひとりで抱え込んでいてつらかったでしょう」
「私、離婚しようと思います。太陽さんの出世の邪魔をしたくない。仕事も辞めさせてください」

 離婚して赤の他人になれば、父も鳴海に金を要求したりしないだろう。
 本来は気が小さい人なのだ。

「仕事を辞めて行く当てはあるの? お腹の赤ちゃんはひとりで育てるつもり?」
「それは……」

 真綾には頼れる親類も親しい友人もいない。
 真綾の行動は行き当たりばったりで、離婚後の具体的な計画があるわけではない。

「よかったら私の弟が経営している民宿で住み込みで働いてみない?」
「でも……」
「真綾ちゃんならきっと歓迎されるわよ。出産が終わるまではのんびり養生すればいいし」
「ありがとうございます」

 実の父親よりも赤の他人の織恵の心遣いが身に染みる。
 真綾は深々と頭を下げ、礼を言ったのだった。
 運命の日は刻一刻と近づいている。
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