不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜

「さあ、鳴海さんが帰ってくるまでクッキーでも焼いて待ちましょうか。ホロホロのココアクッキーは好き?」
「はい」

 最強の味方を得た真綾は静かにうなずいた。
 ふたりがベンチから立ち上がり、エントランスの中に戻ろうとしたそのときだった。

「あんたが小田切の娘?」

 目の前にニタニタと笑う三人の男が立ち塞がっていた。

「あなた達は?」

 織恵が怪訝そうに尋ねても、男達は自分が何者なのか名乗ろうともしない。
 織恵の問いかけを無視し会話を続ける。

「間違いない。髪型は違うが写真と顔が同じだ」
「大人しくついてこい!」
「きゃっ!」

 耳に大量のピアスをつけた男にいきなり腕を掴まれ、真綾は悲鳴を上げた。無理やり身体を引きずられる。

「ちょっとあんた達! 真綾ちゃんになにするのよ!」
「鬱陶しいババアは引っ込んでろ!」

 三人のうち、一番背の高いスキンヘッドの男が、食ってかかる織恵を地面に突き飛ばす。

「うっ!」
「織恵さん!」

 そばに駆け寄ろともがくが、首にドクロの入れ墨がある男に羽交締めにされ敵わない。
 真綾は二人がかりでロータリーに停めてあったライトバンに無理やり乗せられた。

「真綾ちゃん!」
「織恵さん!」

 ドアが閉まり、車が急発進する。
 織恵の悲痛な叫び声が、いつまでも辺りに響いていた。
 
< 106 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop