不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
5.5.離れるなんて言わせない
(今朝の真綾はかわいかったな)
その日の勤務を終えた太陽は、緩んだ口もとを手で隠しながら足早に訓練所内を歩いていた。
今日は所轄署まで武術指導しに行ってきたせいで、いつもより帰宅が遅れている。
太陽は数カ月に一度、師範として所轄署まで稽古をつけに赴く。
訓練に参加した小石川から飲みに誘われたが、今日ばかりは早く家に帰りたくて仕方なかった。
早く会いたい。抱きしめたい。
不意打ちに驚く真綾のかわいい表情をずっと眺めていたかった。
真綾と結婚し気持ちが通じ合ってから、太陽はずっとこの調子だ。
こんなに幸せでいいのかと毎日喜びに打ち震えている。
結婚なんてまだしなくていいと、斜に構えていた自分を膝詰めで説教してやりたい。
(そうだ。真綾の好きなケーキでも買って帰ろう)
この数日、疲れているのか真綾はうわの空で、太陽からの呼びかけにも生返事で応じることもしばしばだ。
結婚式についても、まだ色よい回答を得られていない。
わかりやすくご機嫌を取っておかねば、がっかりさせてしまうかもしれない。
太陽は意気揚々と正門を抜けた。
ケーキ屋に向かおうとする太陽に誰かがそっと近づいてくる。