不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
5.5.離れるなんて言わせない


(今朝の真綾はかわいかったな)

 その日の勤務を終えた太陽は、緩んだ口もとを手で隠しながら足早に訓練所内を歩いていた。
 今日は所轄署まで武術指導しに行ってきたせいで、いつもより帰宅が遅れている。
 太陽は数カ月に一度、師範として所轄署まで稽古をつけに赴く。
 訓練に参加した小石川から飲みに誘われたが、今日ばかりは早く家に帰りたくて仕方なかった。
 早く会いたい。抱きしめたい。
 不意打ちに驚く真綾のかわいい表情をずっと眺めていたかった。
 真綾と結婚し気持ちが通じ合ってから、太陽はずっとこの調子だ。
 こんなに幸せでいいのかと毎日喜びに打ち震えている。
 結婚なんてまだしなくていいと、斜に構えていた自分を膝詰めで説教してやりたい。

(そうだ。真綾の好きなケーキでも買って帰ろう)

 この数日、疲れているのか真綾はうわの空で、太陽からの呼びかけにも生返事で応じることもしばしばだ。
 結婚式についても、まだ色よい回答を得られていない。
 わかりやすくご機嫌を取っておかねば、がっかりさせてしまうかもしれない。
 太陽は意気揚々と正門を抜けた。
 ケーキ屋に向かおうとする太陽に誰かがそっと近づいてくる。

< 107 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop