不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
「やあ」
「あなたは真綾の……」
太陽に気安げに話しかけてきたのは、真綾の父だった。
「やっぱりあんたが真綾の結婚相手だったんだな」
「はい。そうです」
太陽は心底安堵した。
(真綾の仕事が休みでよかった)
下手に顔を合わせて、彼女の心を悪戯に乱してほしくない。
「今日はあんたにお願いがあってここまできたんだ」
「お願いですか?」
「金を貸してくれないか? 一万でもいい。すぐに返すからさっ! な? 真綾と結婚したんだもう俺達は他人じゃないんだ」
ヘラヘラと都合のいい言い分を並べ立てる真綾の父に太陽はほとほとあきれ返った。
「すみません。金は貸せません。たとえ義理の親子でも金銭の貸し借りはしない主義です」
世の中の犯罪の多くが金銭トラブルと痴情のもつれによるものだと身を持って知っている。
そう冷たくあしらうと、ケーキ屋へと足を進める。