不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
『ま、真綾ちゃんが! 変な男の人達にさらわれて!』
「真綾がさらわれた!?」
声の主の物騒な発言に、血の気が一気に引いていく。
『どうしましょう! 真綾ちゃんは妊娠中なの! 彼女になにかあったら。もう鳴海さんしか頼れなくて……』
電話をかけてきた女性は、さらに爆弾発言を繰り返した。
「ちょっと待ってください。あなたは真綾の上司の織恵さんですよね? なぜ真綾のスマホから電話を? どうして真綾の妊娠を知っているんですか?」
『実は真綾ちゃんから相談されてたの。父親から逃げるために鳴海さんと離婚して家を出たいって。私は彼女を知り合いの民宿に連れていくつもりで迎えにきて、それで……』
太陽は悔しさのあまり歯を思い切り噛み締めた。
どうりで今朝はいつもと様子が違っていたはずだ。
真綾の覚悟を見抜けず色ボケていた自分をぶん殴ってやりたい。
「そちらにパトカーを向かわせます。到着した警官に事情を詳しい状況を話して下さい」
父親の相手をしている場合ではなくなった。
犯人の目的も理由もわからないが、真綾がさらわれたらしい。
電話を終え、なんとはなしに視線を向ければ、真綾の父は顔面蒼白になっていた。
「ま、まさか……。本気だったのか?」
父親から発せられた言葉を太陽は決して聞き逃さなかった。