不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜

「鳴海っ!」

 小石川が運転する覆面パトカーが正門に到着するなり、太陽は急いで助手席に身体を滑り込ませた。
 すぐに発進しようとすると、真綾の父親が助手席の窓に張り付いた。

「お願いだ! 私も連れて行ってくれ!」
「鳴海!」

 今は説得する時間すら惜しい。

「後部座席に乗ってください」

 太陽から許可をもらった真綾の父は、後部座席に飛び乗った。

「真綾をさらった連中は梯子山(はしごやま)方面に向かっている」
「なんでわかるんだ?」
「真綾のスニーカーの靴底には、こっそりGPSタグを取り付けてある」
「うわ。お前、自分の奥さんの靴にそんなものを仕込んでんのかよ」
「安全管理上、真綾の行動パターンを把握する必要があったんだ!」

 太陽は声を荒らげ、自分を正当化した。
 父親と揉めている場面に遭遇した太陽としては、何かあった場合に迅速に駆け付けられるよう常に彼女の位置を把握しておく必要があった。
 実際のところ、真綾の行動は狭く、ほとんどパターン化されていて、GPSは出番がなかったわけだが。

(まさか役立つ日がくるとは)

 太陽はスマホの映し出された真綾の現在地を血走った目で食い入るように眺めた。

(絶対に助ける)

 お腹の中にいる子どももひっくるめて、放すものか。
 覆面パトカーは街中を緊急走行し、梯子山を目指した。

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