不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
6.守らせてほしい



「逃げ出そうなんて馬鹿な真似はよせよ。どうなるか少し考えればわかるだろう?」

 ライトバンに乗せられた真綾は、男達にわかりやすく脅された。

(怖い)

 ライトバンの後部座席、スリーシーターの中央に座らされるやいなや、タオルで目隠しをされ、視界は完全に塞がれている。
 両サイドには、入れ墨の男と金髪の男が座っているはずで、真綾はひたすら身体を縮こませるしかなかった。

(冷静にならなきゃ)

 この状況から逃げおおせるために、最善を尽くさねばならない。
 警察官の妻である矜持が真綾を冷静にさせていた。
 叫び出したい気持ちを懸命にこらえ、歯を食いしばる。
 いくら暴れたところで男達になんなく取り押さえられるだけだ。

(織恵さん、怪我してないかな)

 エントランスでの出来事が頭をよぎる。
 織恵は真綾を取り返そうとして男達に突き飛ばされ、地面にしたたか身体を打ち付けていた。
 もし骨でも折れていたら大変だ。

(巻き込んでしまってごめんなさい)

 真綾は心の中で織恵に謝った。
 連れ去られる際、男達は"小田切の娘"と口にしていた。彼らは十中八九、父の知り合いに違いない。
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