不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
(無事に帰る方法を考えなきゃ)
真綾はもはやひとりの身体ではない。
この状況をどう切り抜けるか、在らん限りの知恵を絞らなければならない。
真綾は息を吸い、そして大きく吐き出した。
お腹の中には大事な我が子が宿っている。
真綾は心の中で語りかけた。
(大丈夫。あなたは私が守る)
こんな状況で不謹慎だが、ひとりでなくてよかった。我が子のおかげで、妙に心が落ち着いている。
(それにしても、どこに向かっているんだろう?)
ずっと目隠しをされているせいで、時間の感覚が鈍い。
車がどこを走っているのか、いったい何分ぐらい経ったのか正確な時間もわからない。
少し前から車同士がすれ違う風切り音がしなくなったので、街から離れたのだろうか。
「あとどれぐらいだ?」
「もうすぐだ」
左隣の金髪の男が尋ねると、間髪入れずピアスの男が答える。
その直後、車が左右上下に激しく揺れ出す。
タイヤから砂利や小石、枯れ葉を踏みしめる音が聞こえてくる。
これまで舗装された道路を走っていたが、どうやら脇道に入ったようだ。
ほとんど手入れされていないのか、ひどい悪路で、シートから何度も腰が浮いた。