不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
車が止まったのは、脇道を走り出して三十分ほどしてからだった。
「降りろ」
車から降ろされ、目隠しを外された真綾の目の前には一軒の山荘があった。
「ほらっ歩け!」
入れ墨の男に背中を押され、山荘に足を踏み入れる。
意外なことに山荘は掃除が行き届いていて、清潔そのものだった。
真綾は入口からまっすぐのびた廊下を歩かされ、突き当たりの扉まで連れて行かれた。
「神崎さん、連れてきました」
金髪の男がそう言いながら扉を開けば、街を一望できる見晴らしのいいリビングダイニングがお目見えする。
部屋の中央には大きなベッドがあり、革張りのソファにバーカウンターまで完備されている。
リビングではひとりの男がワイングラス片手に、悠々とソファに腰を下ろしていた。
「やあ、こんにちは」
山荘に似つかわしくない高級スーツを着ており、真綾をさらった男達の仲間とは思えぬ整った顔立ちをしている。
神崎と呼ばれた男はワイングラスをテーブルに置き、ソファから立ち上がるとこちらへ近づいてきた。
真綾の顎を指で持ち上げ、顔をまじまじと見下ろす。
「ふーん。あの小汚いジジイの娘にしては悪くないな」
「あなたは誰?」
「君の父親に金を貸しているといえばわかりやすいかな? 要するに借金取りさ」
神崎の発言に余計に違和感が募る。
父から金を要求されることはあっても、借金取りが真綾に直接取り立てに来たことは一度としてなかった。
なぜ今になって?