不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜

「私をどうするつもり?」
「それを聞いてどうする?」

 神崎はクツクツと真綾を嘲笑った。

「いいことを教えてやろう」

 神崎は真綾のブラウスの胸ぐらを掴み、上へ引き上げた。ニヤニヤと気色の悪い笑みを浮かべながら言う。

「君には五千万の生命保険金がかけられている。もちろん、受取人は小田切だ。これがどういう意味か少し考えればわかるだろう?」

 真綾をおちょくるために、神崎は己の頭をトントンと人差し指でつついた。

(保険金?)

 顔から血の気が引いていくのが自分でもわかる。
 なぜ誘拐されたのか今までわからなかったけれど、これで目的がはっきりした。

「恨むなら金を返さない父親を恨むんだな」

 神崎からにこやかに告げられると、背筋が寒くなった。
 ライトバンに同乗していた男達は粗野なだけで、普通の男性だった。
 しかし、神崎という男の眼は真綾を血の通った人間として認識していない。口調は楽しげなのに、目が笑っていないのだ。
 金づるもしくは、都合のいい玩具。それ以上でも、それ以下でもない。
< 117 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop