不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
「さて、さっさと片づけるか」
鳴海は言うが早いか段ボール箱をふたつまとめてひょいと持ち上げた。
真綾なんてひとつ運ぶだけでヒーヒー言っていたのに、さすが機動隊の隊員は鍛え方が違う。
真綾も段ボール箱をひとつ抱え上げ、鳴海と一緒に階段をのぼっていく。
段ボール箱を運んでいる最中も、鳴海は気さくに話しかけてくれる。
「機動隊訓練所で働くのには、もう慣れた?」
「そうですね。最初はいろいろと驚くことばかりでしたけど」
機動隊食堂で働き始めてから、まず驚かされたのは訓練所の敷地の広さだ。
事務所や食堂のある総合庁舎の他にも、大きな車庫、訓練塔などが存在する。グラウンドなんてふたつもある。
防弾服とジュラルミンの盾を装備してランニングする姿に最初こそ驚かされたが、働き出して三カ月目の今では、見慣れた光景になりつつある。
「こういうところで働くのは初めて?」
「はい。以前はカフェテリアのキッチンで働いていました」
「へー。そうなんだ」
「カフェテリアでは――」
真綾は前職を辞めた経緯を思い出し、次の台詞をとっさに飲み込んだ。
鳴海は聞き上手なせいなのか、余計なことまで話しそうになる。
「じゃあ、最近凝ったメニューが増えたのは君のおかげかな。俺はスープカレーがお気に入り」
予想もしていなかったメニュー名が鳴海の口から出てきて、真綾は思わず目をパチクリと瞬かせた。