不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
「本当にありがとうございました」
「どういたしまして」
鳴海は疲れる様子など見せずに、真綾に微笑みかけた。
「真綾ちゃーん」
名前を呼ばれ後ろを振り返ると、織恵が食堂の入口から出てくるところだった。そのまま真綾達のもとまで歩いてくる。
「どこに行ってたの? 全然戻ってこないから、今探しに行こうと思ってたのよ」
「あ、えっと……。エレベーターが故障していて。こちらの隊員さんが段ボール箱を運ぶのを手伝ってくださったんです」
真綾はしばし悩んだ末に、事の次第をありのまま打ち明けた。
「あら、そうなの?」
「それでは自分はこれで失礼します」
織恵を前にし、かしこまった態度に戻った鳴海はクルリと方向を変え、疾風のごとく階段を駆け上がっていった。
三階には柔道場がある。もしかしたら稽古に向かう途中だったのかもしれない。
(用事があったのに手伝ってくれたんだ)
機動隊訓練所で働いているものの、隊員達と個人的に話す機会はまだ少ない。
機動隊員は皆、鳴海のように親切で頼もしい人なのだろうか?
とりとめのないことを考えていると、隣で織恵がしたり顔で何度もうなずく。
「さっすがSATの隊員ともなると他の機動隊員とオーラが違うわねえ」
「SAT?」
聞き慣れない単語に、真綾は首を傾げた。
「そう! 能力、人格ともに優れた機動隊員だけがなれるスーパーエリート! 精鋭中の精鋭! それがSATよ」
「見ただけでわかるものなんですか?」
真綾がそう尋ねると、織恵はニヤリと笑った。