不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
◇
「ごちそうさま。今日もうまかったよ。おすすめ通り、ポテトサラダにしてよかった」
食事が終わり、鳴海が返却口までトレーを下げにやってくる。
「お口に合ったみたいでよかったです」
食器洗いに勤しんでいた真綾は、内心ドキドキしながらトレーを受けとった。
あれ以降、鳴海はなにかと真綾に声をかけてくれる。
「営業時間ギリギリに大勢で来てごめんね。片づけの邪魔じゃなかった?」
「あ、いえ! 全然平気です。むしろ廃棄が減ってうれしいくらいです!」
そう答えてしまい、慌てて口をつぐむ。
丹精込めて作った料理が無駄にならなくてうれしいのは本心だけれど、こうも正直に言われた方の気分はよくないだろう。
「す、すみません!」
「あははっ! それはよかった。せっかく作ったんだから、残さず食べてほしいよな。大急ぎで帰ってきた甲斐があるよ」
とんでもない失言だったが、鳴海は気にも留めない。むしろ真綾の意図を汲み取り、喜んでくれた。
「明日も楽しみにしてる」
「はい」
軽く会釈すると、食堂から去っていく鳴海の後ろ姿をこっそり見送る。
ささいな褒め言葉や、お礼の言葉のひとつひとつが真綾の中に積み重なっていく。
その度に、真綾は彼を自然と目で追うようになった。
米粒ひとつ残さず見事に平らげられピカピカになった食器は勲章だ。
水で軽くゆすいだあと、皿を食洗機に入れつつ考える。