不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
(助かった)
父の姿が見えなくなり、真綾はホッと胸をなで下ろした。
「余計なお世話だったかな?」
鳴海は困惑気味で首の後ろをかいた。
「いいえ、助かりました。ありがとうございました」
お礼を言いながらトートバッグの持ち手をぎゅっと握りしめる。
気まずい場面を見られてしまった。
それも、一番見られたくない人に。
「家まで送るよ」
「でも……」
「帰ったと見せかけて、この辺をまだ彷徨いていたら厄介だろう? ここは大人しく従ってくれ」
鳴海は警察官らしい強い口調で真綾を嗜めた。
彼の言うことはもっともだった。
わざわざ職場までやってきた父が、そう簡単にあきらめるとは思えない。
「お願いします」
真綾は粛々と頭を下げた。
「家はどこ?」
「大通りの交差点を左に曲がって、角にあるコンビニから二百メートルぐらい歩いたアパートです」
「わかった。行こう」
鳴海は先導するように、真綾の一歩前を歩いた。