不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
温かく香る湯気。
テーブルに並んだ人数分の皿。
その日の出来事で弾む会話。
どれも真綾が失ってしまった光景ばかりだ。
もし、この話を断れば鳴海は他の女性と結婚してしまうかもしれない。
想像するだけでズキンと心が痛くなる。
結婚は愛する人同士でする神聖なもの。
こんな理由で結婚するのは、間違っているのかもしれないけれど。
(私、たぶん鳴海さんのことが好きなんだ)
真綾はすでに覚悟を決めていた。
「鳴海さん」
「あ、やっぱりダメかな? ダメなら他の案も――」
真綾は鳴海の台詞を遮るように、首を横に振った。
「結婚のお話、進めてもらってもよろしいでしょうか?」
自分から提案したにもかかわらず、鳴海は驚きで目を丸くしていた。
ご都合主義の結婚でも構わない。
真綾にはこれ以上失うものはなかった。