不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
『お前の財布を空にしてやるから覚悟しとけよ』
即座に謝罪した効果なのか、奢り宣言のおかげなのかわからないが、小石川はぶつくさ言いながらも怒りを収めてくれた。
かつて太陽と"同じ隊"に所属していたこともあり、小石川とは昵懇の仲だ。
それは、小石川が訓練所の管轄内にある所轄署に異動してからも変わらない。
今でも一カ月に一度は連れ立って飲みに行く約束するぐらいだ。
『それで? 緊急招集でもかかったのか?』
小石川は太陽をからかうように、ハハッと笑いながら尋ねた。
面白くもないジョークだったが、太陽は薄く笑った。
もし緊急招集がかかっていれば、それこそ悠長に話をしている時間はない。
小石川もわかっていて、あえてボケてみせたのだ。
「いや、今日は別件」
『俺への連絡を放棄するぐらい大層な用事だったのかよ』
後回しにされた小石川の口から再び不満が漏れていく。
「ああ。俺、結婚することになった」
浮かれに浮かれた太陽が喜び勇んで結婚を報告すると、『は?』とひと言だけ返ってきた。
電話口の向こうで、小石川が口をあんぐりさせているのが目に浮かぶようだ。