不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
(よかった)
真綾の肩から力が抜け、お尻がストンと椅子に着地する。
「あら~。無事に解決したみたいでよかったわね」
のんびりした口調で食堂の厨房から出てきたのは、真綾の上司でもある三浦織恵だ。
ふくよかな身体を左右にゆさゆさ揺らしながら、真綾のいるテレビの前までのっそりやってくる。
「ホッとしました……」
真綾は本心からそう言った。
出来ることなら、もう二度とこんな思いはしたくない。
織恵はすっかり疲れ切りテーブルに突っ伏する真綾の肩にポンと手を置いた。
「悪いけど真綾ちゃん。私達のミッションはまだ終わっちゃいないのよ。皆が帰ってくる前においしいご飯を作ってあげないとね。きっとお腹を空かせて帰ってくるよ!」
織恵は口の端を引き上げ、パチンとウインクを飛ばす。
真綾は何度か目を瞬かせると、自らを奮い立たせるように椅子から立ち上がった。
「はいっ」
織恵の言う通りだ。
治安を守るのが彼らのミッションならば、胃袋を満たすのは真綾達の役割だ。
真綾は気合いを入れ直し、テーブルの上に置いた三角巾を頭に結え、エプロンを手早く身につけた。
厨房に戻る織恵に続くべく、リモコンをテレビに向けたそのとき、ボタンを押そうとしていた指が止まる。
(あっ)
現場の空撮映像に防弾服を着たSATの隊員が小さく映り込んでいたのだ。