不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
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「鳴海さん、知ってます? 先週から食堂に新しく入ってきた新人の子、かなりかわいいですよ。年齢も俺達と同じくらいです」
部下の真壁が楽し気に話しかけてきたのは、太陽の寮部屋で飲み会が開催されたときだった。
あれはそう。ランニング中に受ける風に冷たいものが交じり始めた秋頃のことだった。
「へー。新しい人が入ってきたのか」
「またまた〜。とぼけないでくださいよ! 訓練所内では今その話題で持ちきりですよ。なあ、みんな」
真壁が他の隊員に水を向けた途端、みな一様にうなずき始め太陽は苦笑いした。
真壁達が浮かれる気持ちもわからないでもない。
警察組織の人数比は圧倒的に男性に傾いている。
訓練所には女性の隊員も事務員もいるにはいるが、やはり数は少ない。
毎日、目につく場所に若い女性がひとり増えただけでこの騒ぎだ。
太陽は半ばあきれながら言い返した。
「二十代のお前達と俺を一緒くたにするなよ。いちいち他人の顔を値踏みなんてしない。お前らもいちいち浮かれるな」
彼らより年長の太陽は、女性がいない環境にもある程度慣れている。
容姿だけで判断して、騒ぐのは失礼な気がした。
ましてや相手は真面目に働いているというのに。
軽く嗜めたものの、真壁はめげずにニッと笑った。