不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
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(断られなくてよかった)
苦境に立たされている彼女を助ける術など他にいくらでもあったのに、太陽は自分に一番都合のいい手段を選んだ。
突然のプロポーズに驚く真綾に戸惑いはあっても、嫌悪感はない。
速攻で拒絶されるのも覚悟していたが、そうはならなかった。
太陽は交番勤務時代に培った論法を駆使し、真綾を説得にかかった。
メリットとデメリットを淡々と説明し、なるべく自身の感情は表に出さず、押し付けがましくならないように気を使う。
下心を見抜かれては本末転倒だ。
だからこそ、結婚を承諾してもらえたときは、飛び上がるほど嬉しかった。
今も油断すると、口もとがにやけてしまう。
(さあ、ここからが勝負だぞ)
真綾は太陽に恋愛感情を抱いていない。
やむにやまれぬ事情で、太陽の庇護下にいるのを望んだだけ。
真綾の心まで手に入れられるかは、これからの努力次第だ。
(やってやるさ)
太陽は意気揚々と帰寮したのだった。