不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
「お父様、警察署の署長さんをされてるって聞いていたので、もっと怖い人かと思ってました」
「昔は顔通りの性格だったけど、ここ数年はだいぶ丸くなったね」
まさか、鳴海の家族がみんな警察官だとは思わなかった。
詳しく話を聞けば、彼は近隣では有名な警察一族らしい。
リビングには三兄弟が学生時代に獲得した賞状やトロフィーが所狭しと飾られていた。
今回はふたりいる兄とは会えなかったが、鳴海に負けず劣らず優秀な人みたいだ。
兄弟全員がエリートなんて、ひとりっ子の真綾にはとても想像できない。
(すごいよな)
自分との違いを感じて、ますます気後れする。
警察一家の生まれならば、なおさら家柄のきちんとした然るべき相手と結婚するべきだ。
鳴海の両親もこの結婚を快く思っていないと感じていたのだが、帰り際にかけられたのは意外な言葉だった。
『警察官の妻としていろいろと苦労すると思いますが、息子を支えてやってください』
鳴海の父親はわざわざ腰を下り、真綾に頭を下げた。
隣に立つ母親も夫を倣うように、お辞儀をする。
真綾は後ろめたさで痛む心を必死で押し隠し、『はい』と返事をしたのだった。