不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
4.どしゃ降りの夜に
「ただいま」
「おかえりなさい」
真綾は汗だくで帰宅した鳴海にキッチンから声をかけた。
「ご飯できてますよ。今日は太陽さんの好きな揚げ出し豆腐です」
夕食のメニューを告げれば、鳴海はTシャツの襟もとをつまんで風を送りながらうれしそうに微笑む。
「先にシャワー浴びてくるよ」
鼻歌まじりで浴室に向かう無邪気な様子に、真綾はクスリと笑みをこぼす。
(さて、今のうちに)
真綾は急いで完成した料理を盛り付け、ダイニングテーブルに並べた。
今日は和食だ。
揚げ出し豆腐に、ネギの味噌汁、ワカメの酢の物。あとは、にんじんしりしり。
鳴海はどんなメニューでも好きだと言ってくれるので、こちらとしても作り甲斐がある。
真綾の勤務はシフト制だ。
午前六時から午後二時までの早番と、十二時から二十時までの遅番。平日は毎日どちらかのシフトに組み込まれている。
鳴海はというと、朝から夕方までの日勤のみで残業もほとんどない。
したがって、真綾が早番の日はいつも一緒に夕食をとっている。
テーブルに皿を並べ終わったところで、シャワーを浴びた鳴海がリビングに戻ってくる。
ふたりは席に着くと、揃って手を合わせた。
「いただきます」
「いただきます」
食事の挨拶をしてから、お互い箸をとる。
――ふたりが一緒に暮らし始めて二カ月が経とうとしている。