不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
4.どしゃ降りの夜に


「ただいま」
「おかえりなさい」

 真綾は汗だくで帰宅した鳴海にキッチンから声をかけた。

「ご飯できてますよ。今日は太陽さんの好きな揚げ出し豆腐です」

 夕食のメニューを告げれば、鳴海はTシャツの襟もとをつまんで風を送りながらうれしそうに微笑む。

「先にシャワー浴びてくるよ」

 鼻歌まじりで浴室に向かう無邪気な様子に、真綾はクスリと笑みをこぼす。

(さて、今のうちに)

 真綾は急いで完成した料理を盛り付け、ダイニングテーブルに並べた。
 今日は和食だ。
 揚げ出し豆腐に、ネギの味噌汁、ワカメの酢の物。あとは、にんじんしりしり。
 鳴海はどんなメニューでも好きだと言ってくれるので、こちらとしても作り甲斐がある。

 真綾の勤務はシフト制だ。
 午前六時から午後二時までの早番と、十二時から二十時までの遅番。平日は毎日どちらかのシフトに組み込まれている。
 鳴海はというと、朝から夕方までの日勤のみで残業もほとんどない。
 したがって、真綾が早番の日はいつも一緒に夕食をとっている。
 テーブルに皿を並べ終わったところで、シャワーを浴びた鳴海がリビングに戻ってくる。
 ふたりは席に着くと、揃って手を合わせた。

「いただきます」
「いただきます」

 食事の挨拶をしてから、お互い箸をとる。

 ――ふたりが一緒に暮らし始めて二カ月が経とうとしている。

< 70 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop