不屈の機動隊員と始めるあまから新婚生活〜この愛、刺激的です!〜
「実は先週の提案会で出したタンドリーチキンのレシピが正式に採用されたんです」
「うわっ! よかったね、真綾ちゃん!」
鳴海は自分のことのように、手放しで喜んでくれた。
「太陽さんに手伝ってもらったおかげです」
提案会の一週間前から、鳴海には何度も味見をお願いした。
彼の味覚はたしかで、量が少ない、味に飽きるなど、隊員ならではの視点で忌憚のない意見を述べてくれた。
鳴海の意見を参考にして微調整を行った結果、今回は無事に採用が決まったのだ。
「お祝いしないとね。明日帰りにケーキでも買ってくるよ」
「そんな! 気を使ってもらわなくていいですよ」
「俺が勝手に祝いたいだけだから、遠慮しなくていいよ。フルーツタルトがいいよね。お祝いのプレートもつけてもらおうか」
鳴海はポンポンと言葉を紡いでいった。
真綾はそれ以上反論できず、小さくうなずいた。
ケーキの中ではフルーツタルトが一番好きだと、一度しか言った記憶がないのに、まさか覚えているなんて。
「ごちそうさま。風呂洗ってくるね」
鳴海は食器を持って立ち上がり食器をシンクに置くと、宣言通りバスルームの方に歩いて行った。
引っ越し初日に宣言した通り、鳴海の家事の腕はなかなかのものだった。
洗濯物を畳むどころか、アイロンまでお手のもの。
整理整頓は警察学校で叩き込まれたらしいが、もともと几帳面な性格というのもあるのだろう。
鳴海は本当にマメな人で、真綾が気持ちよく過ごせるようにいつも気を配ってくれる。