私史上最大の秘密は、友達の彼氏が好きってことです
 予鈴が鳴るほんの少し前になって、ミヅキが教室に滑りこんできた。

 こんなギリギリに登校だなんて珍しい。

「おは……」

 挨拶をしかけたところで、私の髪という髪が電気を帯びて逆立ったような気がした。

 すぐさま駆け寄った。

「どうしたの?」

 ミヅキは恥ずかしそうに微笑んだ。

「あっ、マナ……うーん、やっぱり気づいちゃう?」

 気づくに決まってるじゃない! その赤く腫れぼったくなった目!

 ひと晩中、泣いてたのかな……

「何があったの?」

 ミヅキがうつむき加減になって、ひと言だけ漏らした。

「タイガと別れた」

「えっ!?」

 今度は背筋に電流が走った。

 『どういうこと?』と訊きたかった。

 けれど、そこでいよいよ予鈴が鳴ってしまったため、話は切り上げとなった。

 心臓が胸を強打してくる。

 痛いのは心臓? 胸?

 それなのに、足の感覚はまるでなかった。

 私はよろけながら席に戻った。
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