甘い秘め恋は生徒会室で



 あっ!

 指に挟んでいたシャープの芯が折れちゃった。

 ポキって。

 数十秒前までは、折れないように気を付けていたのに。



 でもしょうがない。

 私にしかわからないサインを、東条くんが送ってくれたんだもん。

 胸キュンで心臓が止まりかけたその瞬間に、手に力が入っちゃったんだ。



 東条くんは、私がいる教室の中なんて一切見ていない。

 さっきまで締めていたであろうネクタイを顔の横で振り回しながら、友達とワイワイ歩いているだけ。



 でもそれが合図なの。


 ――私に見えるようにネクタイを掲げること。


 それが私たち二人だけにしかわからない、極秘サインなの。



 【今日の昼休み、俺も生徒会室に行く】


 【妃奈の甘さ、堪能させろ】



 彼が放つ無言の甘い誘い。


 今日も二人だけで会えるんだ///


 東条くんのネクタイを瞳に映すたびに、私のハートは悶え痺れてしまうんだ。


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