甘い秘め恋は生徒会室で
学園の人気者が去ったとたん、静まり返った教室内。
「うそでしょ!」と立ち上がった紗月ちゃんは、すでに脳内を別男性で埋め尽くしているもよう。
さっきまで東条君で浮かれていたのに、切り替えが早いな。
こんな時「どうしたの?」なんて聞く必要はない。
感動を共有してほしい思いが強い紗月ちゃんは、この後スマホを私に見せてくるはずだから。
「妃奈、妃奈、わたし泣いちゃう」
ほらね、椅子に座る私の真横に来て、画面を私の顔の前に突き出している。
「ネットニュースに出てるの! 次に春くんが出るドラマが決まったんだって!」
それはそれは、推しの活躍は嬉しいものだよね。
「キュートで幼い感じのアイドルくんだし、敏腕女社長に拾われて甘えまくる年下役かな?」と、頭を傾けた私。
「って思うじゃん。違うの。予想外のキャラ来た! ギャップ萌え間違いなし!」
赤らめたほっぺを両手で包んだ紗月ちゃんのニヤケっぷりは、地球を救いそうなほど幸せ全開でほほえましい。