甘い秘め恋は生徒会室で

 私もね、野いちご学園高等部に入学するまでは信じていなかったよ。

 自分の周りに、人を食べたいなんて人は皆無。

 出会ったこともすれ違ったこともない。

 ニュースでもネットでも、フォークです、ケーキですと名乗る人すら見たことがなかっし。



 でも信じざるおえなかった。

 あれは高校の入学式の日。

 体育館で転びそうになった私を、隣にいた顔も知らない男の子が抱きとめてくれたの。



 お互いバランスを崩していたせいだろう。

 彼の唇が私の額に沈み込んで。


 ひゃっ!

 色っぽく波打つ黒髪を揺らすワイルドイケメン君に、抱きしめられてる///


 眼福満喫中とばかりにボーっと見つめてしまった私に、彼は驚いたように目を見開きながら言ったの。



 「やっと見つけた、俺だけのご馳走」って。






< 14 / 36 >

この作品をシェア

pagetop