春、光の中で私は咲く。

序章

_窓の外の桜の木、蕾が膨らむ。_

私は去年の12月のことを思い出してた。

もう年末まで後ちょっと、という頃。

医者から言い渡された。

今までわかっていたけど目を背けてきたこと。

「もう1年も持たないかもしれません」

スローモーションになった医者の口から出た言葉は

私の耳に、ゆっくりそれでいてはっきり聞こえた。

短いため息をつく。

_まだつぼみの景色もだんだんと桃色に染まっていく。_

ああ。

もうちょっと。

あとちょっと。

願っても叶わない

そんなのは

私が一番分かってる。
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