吸血鬼と姫

鳥の風



__________……

〈…見つけた…?!姫様、吸血鬼の王と居るのか!まずいことになったぞぉ!今すぐ連れ戻さなければ〉

もう少し近くに寄る。

…と、気づかれてしまった。

『お前は誰だ』

仕方がない。

ボン

「?!貴方は!」

「姫様!どこに居るかと思ったら吸血鬼の王と居るなんて、何事ですか!」

「聞いて」

「いや、聞きません。戻りますよ」

「それは、ない」

「なんですと?」

「お前達、コイツの話し耳を傾けたのか」

「何をおっしゃってあるのかわかりません」

「単刀直入に言う。コイツは、お前達の縛りが嫌でも城を飛び出してきた。それで、俺とここにいる」

「姫様…それは、本当なんですか?」

姫様は、私から目を反らした。

〈…そういうことだったのか。確かに、あの方も言っていた〉

「まぁ、取り敢えず貴方も一緒に城へお出でになさってくれますね?」

「あぁ、望むところだ」



†★†

城に戻り、王室へと向かう。

コンコン

「失礼致します。姫様を連れてきました」

部屋の中
「入って良いぞ」

勝手に扉があいた。

「吸血鬼じゃないか!…おっと、すまない。私の子を助けてくれてありがとう。感謝する」

王子は、姫様に近づく。

「ん?これはなんだ。牙の跡…まさか、お前達…いや、もう、そういう年頃かぁ~。大きくなったな。吸血鬼お前の名前は何て言う」

「月夜だ」

「月夜くん、お前達を歓迎しよう。今からパーティーだ」


王子は、鼻歌を歌いご機嫌だ。

私にはわかる、王子は…吸血鬼を殺す気だ。


†☆†


パーティーの時間。

珍しい組み合わせのパーティーだ。

吸血鬼を招いての…


この豪華な料理は、全て吸血鬼にとっての毒。

王女を殺された恨みは、強い。

王子は、王女を心からお好きだった。

だけど、これは…あまりにも酷すぎる。

私は、見てみぬふりをする。


「さぁ!お腹いっぱい食べてくれ。今宵の楽しい夜が始まる!」

「…みんな!これは、毒だ!食べるな」

「そんな失礼な」

「なんか、匂うぞ」

「ほんとだ、これみんな毒よ」

「え!どういうこと?!お父さん」

「ふ、ははははははははははははははは!!子よ。よくきくんだ、私の妻はこの吸血鬼に殺られたんだ!殺して当然だ。
びっくりしたよぉ、私の子が吸血鬼を連れて来たなんて。だけど、これが現実なんだ。死んだ妻は、帰ってこない」

コツンコツン

「貴方」

「?!」

「これは、何事?」

「なん…で」

「ずっと、隠しててごめんなさい。」

王子は、膝から崩れ落ちた。

吸血鬼になった妻が心から愛した王女が目の前にいる。

まぁ、そうなるよね。

「もう、許してあげましょ?」

「…どうして」

「私は、この生活が耐えられなかったのそして、本当の運命の吸血鬼と出会ってしまったの」

王女だった妻の横に立つ。吸血鬼


「?!親父?!」

「月夜よ、ずっと黙ってて悪かった。お前の母親だ」

「…」

「お前達の運命は、偶然ではない必然なんだ。おめでとう、月夜」


「あは、あはははははははははははははは!!」

王子は、壊れた。

「ここで、まとめて殺してやる!」


だが、そうはいかなかった。

なぜ?嬉々欄が止めたから。

「やめて?お父さん、もう…わかったから。だけど、こんなことはあまりにも酷すぎるよ!殺すだなんて…」

「嬉々欄…ごめんな?…」

綺麗な黒い揚羽蝶に包まれてこの世から去っていった。

限界突破になると、連れていかれてしまう。


「お母さん!」

「嬉々欄!」


2人は強く抱き締めた。


これで、一件落着かな?





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